村で、藁草履を作りました。
この土地で昔から続いてきた大切な手仕事で、
出来上がった草履は近くの神社のお祭りで使われます。
最初は1足つくるのに2日。
慣れれば1時間ほどでできるそうですが、
私はまだまだ時間がかかる。
でも、その「時間がかかること」自体が、
とても良い時間でした。
私たちが普段いる社会は、
とにかく効率が求められます。
もっと売上を上げる、
もっと成長する、
停滞してはいけない。
ビジネスの世界では、
「自分の時間を使わずに稼ぐ」ために
仕組み化や自動化が推奨されます。
それ自体は悪いことではないけれど、
気づくと「もっと、もっと」と
終わりのないループに入ってしまう。
そしてそこでは、
「お金が入った」という
機能的な価値だけに意識が向きがちです。
でも、今日の藁草履づくりの時間には、
それ以外の価値が確かにありました。
マーケティングでいう「価値の三層」でいうと、
機能的価値:草履が完成すること
感情的価値:なんだか心がゆるむ、いい時間だと感じること
社会的価値:地域の行事につながっていること
さらに、
こういう手仕事の中には
「伝承」という価値もあります。
昔からのやり方を、
人から人へ、言葉と手の動きで受け継いでいく。
それは「動画を見て覚える」のとは
まったく違うものです。
その場で交わされる雑談や空気、
手の感覚、匂い、音。
五感を通して受け取るものすべてが、
一緒に引き継がれていく。
人間は、
そういうものを感じ取れる存在です。
だからこそ、
効率だけでは満たされない何かがある。
動画や仕組みを否定するわけではないけれど、
そこでは伝えきれない「人間の感覚」が確かにある。
もし、
雑談する時間も、
誰かとゆっくり何かをする時間もないほど忙しいなら、
もしかしたら、
暮らしの設計を見直すタイミングなのかもしれません。
村で暮らし始めて思うのは、
圧倒的な低コストという現実です。
家賃が1万円になったら?
電気の代わりに薪を使ったら?
そもそも、
人間が生きるために必要なお金は
そんなに多くないのかもしれない。
自然の中には、
すでにたくさんのものがある。
だからこそ、
雑談しよう。
時間をかけて草履を編もう。
一からお米を育てよう。
五感を使って、
人間らしく生きる時間を持とう。
そんなことを思った一週間でした。
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